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食事療法

糖質制限食について

近年の糖尿病食は、糖質制限がもてはやされています。確かに、糖質を摂取しなければ血糖値は上がりません。
しかし、栄養バランスの悪さや食生活とし ての不自然さから抵抗感があり、反対する声も多く、論争にもなっています。

糖質中毒の傾向にある日本人が、砂糖やパン、麺類をやめようとすることはとても 良いことですし、何よりカロリー一辺倒だった医学会が、食べ物の「質」に気が付いたことは極めて画期的だといえるでしょう。
ただ、目先 の効果から極論に走りやすいことが、現代医学の難点かと思われます。

糖質制限食を、早急に血糖値を下げる手段として採り入れることは悪くないとしても、肉の多食はガンの罹患率を高めますし、ヒトの身体も小宇宙としてバランスを重視する伝統医学からみると、かつてない不自然な食事療法です。

糖質制限食の提唱者である江部康二氏の「糖質制限食十箇条」でも、決して米一粒 も食べるなとは示されておりません。
以下に挙げる糖尿病患者の食事に関する研究報告は、糖質制限食が是か非かという疑問や不安に、ある程度のヒントを与え、極論から抜け出す時の食生活を示唆するものと考えます。

炭水化物

  • アジアの伝統食

米 国ジョスリン糖尿病センターの研究チームは、2型糖尿病の家族歴またはその他の糖尿病危険因子があり、肥満ではないが普通体重から過体重(BMI 18.5~27)のアメリカ人40名に、アジアの伝統食と典型的な欧米食を16週間にわたり食べてもらい、比較・検討した。

対象者は東アジア系米国人24人、白人16人、平均年齢34歳。
最初の8週間は全員にアジアの伝統食(炭水化物70%、たんぱく質15%、脂質15%)を、その後の8週間は7名には引き続きアジア伝統食を食べてもら い、33名は同じカロリーの欧米食(炭水化物50%、たんぱく質16%、脂質34%)に切り替えた。
その結果、最初の8週間は全員のインスリン抵抗性が改善し、次の8週間で欧米食に切り替えた人たちはみるみる体重が増加した。

結論として、「厳密な伝統的アジア料理」はインスリン抵抗性を改善し、LDLコレステロールも低下させたことから、糖尿病は予防可能だと述べている。

  • 玄米食

沖 縄県では、玄米を食べ続けると血糖値の上昇が抑制されることが知られていた。
メタボリックシンドロームでも、玄米をよく食べる人では体重の減量、血糖値の低下、血管の改善などの効果を得られることが明らかになっている。

そのメカニズムはこれまで詳しく分かっていなかったが、琉球大学の研究チームは、徳島大学、大阪大学と共同で、玄米の胚芽に含まれる「γ-オリザノール」 という成分がβ細胞の細胞死を抑制し、インスリン分泌能を高める作用をすることを突き止めた。

マウスに高カロリー食のみを13週間与え続ける実験を行ったところ、インスリン分泌量が少なくなり血糖値が上昇した。糖尿病マウスはβ細胞の細胞死が起きていた。
別のマウスに、高カロリー食とγ-オリザノールの両方を摂取させたところ、β細胞の機能は正常に保たれ、インスリンの分泌量も増えていた。

本研究は、2015年1月、米国内分泌学会が発行する医学誌「Endocriniology」に世界で初めて発表された。

  • 炭水化物(糖質)摂取量

京 都府立医科大学の岩瀬広哉氏らの研究チームは、炭水化物(糖質)摂取量の減少は、植物性たんぱく質摂取量の減少と相関し、2型糖尿病患者においてメタボ リックシンドロームのリスク因子となると発表した。

研究では、2型糖尿病患者149人(65.7±9.3歳)に、自記式食歴質問票を用いて食事内容を検討した。
分析の結果、炭水化物エネルギーが総エネルギーに占める割合は、動物性蛋白エネルギーが総エネルギーに占める割合、あるいは体内の酸化(食事性および内因 性)と逆相関し、植物性たんぱくエネルギーと相関することがわかった。

そして、植物性蛋白エネルギーが総エネルギーに占める割合の低い群、あるいは体内の酸化スコアが高い群では、メタボリックシンドロームの有病率が有意に高 くなっていた。

この結果から、糖質制限をすると動物性蛋白エネルギーの割合が高くなりやすく、植物性蛋白エネルギーの割合が低ければ、メタボリックシンドロームの有病率が高くなると結論付けている。

大豆たんぱく

  • 味噌汁の効果

2014年5月、山形大 学医学部附属病院第三内科のグループが大阪で開催された第57回日本糖尿病学会年次学術総会で、「男性で味噌汁を1日3杯以上飲んでいる人たちは、味噌汁 を1日2杯以内しか飲んでいない人たちに比べて、空腹時の血糖値平均が明らかに低くかった」と発表した。

対象は、山形県高畠町の集団検診を受診した40歳 以上の成人で、糖尿病患者を除外した男女合計1564人。
女性では、BMIが23未満の人たちに同様の結果が見られたという。  

大豆に含まれるタンパク質には、脂肪の燃焼や血糖値を低下させるアディポネクチンというホルモンを増やす働きがある。
味噌汁を3倍以上飲んでいて食後血糖値が上昇しにくい人たちは、血中アディポネクチン値が高かったこともわかっている。

  • 納豆のすすめ

納 豆はビタミンB群を豊富に含み、糖や蛋白の分解酵素を生むことでも知られる。1980年代には、「ナットウキナーゼ」という血栓を溶かす酵素が含まれてい ることも発見され、血液サラサラ効果で有名になった。

さらに近年では、納豆菌が産生する酵素のひとつ「バチロペプチダーゼF」という物質が、血栓を溶かす だけでなく血液を固まりにくくする作用があることが、滋賀医科大学の一杉正仁教授の研究で証明されている。

糖尿病は血中の糖が高いので、血液がドロドロし やすい。充分に水分を補給し、納豆を日常的に食べることをお勧めしたい。

  • 大豆は膵臓を養う

解剖学・内分泌学の故・藤田恒夫先生は、その著書「腸は考える」の中で、大豆食が膵臓を大きくすると述べている。

膵臓が大きくなると膵細胞も増え、当然インスリンの分泌も増えることから、糖尿病にとっては有益だと思われる。
そして、その効果は、大豆の成分を注射で投与するよりも、口から摂るほうが高 かったという。

ネズミの実験では、大豆成分を食べさせ続けた場合、体重は少ないが膵臓は立派になり、しかもその膵臓は、普通ネズミの2倍くらいの大きさになるとピタリと止まるそうだ。
したがって、膵細胞が増殖し続けてガン化するということは全くなかった述べている。

果物など

  • 野菜の勧めと果物の食べ方

ロ ンドン大学公衆衛生・疫学部による食習慣の大規模調査(2001~2008年、6万5,226人)によると、野菜や果物を多く食べている人は、全ての年齢層で死亡率が低いことが判明した。
すべての死因による死亡率は、野菜と果物を1皿以下しか食べていない人に比べ、1~3皿食べている人は14%、3~5皿 の人では29%、5~7皿の人は42%低下したそうだ。

糖尿病では果物も禁止する向きがあるが、果物には、ビタミンA・C・Eなどが含まれ、ポリフェノー ルやカロテンなど抗酸化作用のある成分を摂取できる。
さらに、果物ががんを予防するという研究報告も多いため、糖だけを問題にして避けるのはいかがなもの かと思われる。

果物を上手に活用するには朝に食べると良い。朝は糖分が早くエネルギー源になるので、ビタミンや食物繊維など果物の利点だけを得ることができる。
ただし、夜は果物も含め甘いものはお勧めしない。過剰なエネルギーが中性脂肪になるからだ。

  • 人工甘味料は要注意

糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防に、ノンカロリーの人工甘味料が良いとされてきた。
ところが、イスラエルのイツマン科学研究所の研究結果によると、人 工甘味料の摂取は腸内細菌のバランスに影響を与え、一部の人に耐糖能(糖の調整能力)異常を引き起こす危険性があるという。

消化管では吸収されないはず だった人工甘味料が、腸内細菌によって変化をもたらし、糖尿病や肥満のリスクを高めて血糖値が下がりにくい状態になることが分かったと述べている。

この結果は、 2014年9月17日付け「Nature」誌オンライン版に発表された。

断食

断食というのは、古くからどこにでもある伝 統的な治療法である。
現在、慢性病を抱えた先進国で見直され、臨床試験によってその効果が確認されている。

国によっては公的医療機関で実施したり、健康保険で絶食療法を行うところもあるようだが、日本ではまだまだ認められておらず、民間レベルで行って事故の危険性も伴っているのが現状である。
https://www.youtube.com/watch?v=oA-eI2WQLRU

  • 断食効果

2014 年6月に発表された米国の研究によると、断食で悪玉コレステロールが低下したという。

この研究は30~60歳の糖尿病前症の男女に、何回かの断食を繰り返 してもらい6週間観察した。
彼らは、①ウェストのサイズが大きい、②中性脂肪過多/HDL(善玉)コレステロール過小、③高血圧、④空腹時血糖値が高い) のうち少なくとも3つ以上を抱えている人たち。

但し1回の断食期間が明らかでなく、報道では24時間ではないかと推測されている。
研究者は、6週間全体でコ レステロールは12%低下し、体重も落ちていたことから、糖尿病予防に有効だと報告している。
悪玉(LDL)コレステロールの現象は、特にインスリン抵抗 性の改善に有効であるとし、断食は、長期間に繰り返して行うのが望ましく、断食期間と実施期間を検討する必要があると述べている。

 

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