運動療法について

運動療法

運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本のひとつです。
食後の運動により食後血糖のコントロールをよくすることや、運動を継続することで代謝を促し、インスリンの働きをよくすることが目的です。

糖尿病は「ホルモン(内分泌)の病気」として扱われますが、2型糖尿病については、内分泌疾患というよりも、正しくは代謝障害です。
過食や運動不足、ストレスによって糖をうまく処理できなくなり、肝臓や膵臓に負担をかけ、細胞のインスリン感受性を狂わせて血液中に糖が溢れてしまう病気です。

代謝を促すには、何といっても運動が重要です。血糖値を下げるのにも、運動をすると細胞代謝がよくなり手っ取り早く下げられます。

運動の効果

2型糖尿病患者は、脳卒中の発症率や死亡リスクが運動療法により半減することが明らかになっています。
運動療法の主な効果として、次のことがあげられます。

・血糖を下げる
・体重を減らす
・心臓や肺の働きを強化する
・ 血圧を下げる
・足腰など下肢の筋力を強くして老化を予防する
・血液の循環をよくする
・ストレス解消など気分転換

  • 2型糖尿病患者の死亡率

新潟大学教授の曽根博仁研究チームは、2型糖尿病患者1,702例(平均58.5歳、女性47%、男性53%)を対象に、平均約8年間にわたり追跡調査を行いました。

その結果、40分以上のウォーキングを毎日行った2型糖尿病患者は、ほとんど運動しない患者と比べて、死亡の危険性がほぼ半分以下になることが明らかになったと報告しています。

  • 寒い環境での運動はカロリー消費に相乗効果

私たちの体の中 には、余分なエネルギーを脂肪として蓄積する白色脂肪と脂肪を燃焼し熱を産生する褐色脂肪が存在します。
褐色脂肪は、体が寒さを感じた時に体内の栄養素を「熱」 にして、体を温める働きをします。

2012年1月に発表されたハーバード大学医学部の研究によると、運動によって、筋肉が生成する「イリシン」と、褐色脂肪 が生成する「FGF21」というホルモンが高まり、より多くのカロリーが消費されるようになると報告しています。
しかも、体が血糖に対してより敏感に反応するようになり、糖尿病の予防のためにも役立つということです。

オーストラリアのガーバン医学研究所の研究チームも、それらのホルモンが寒冷に刺激されると分泌量が増えることを実験で確認しました。
そして、「寒い環境と適度な運動は、ともにカロリーを燃やす脂肪を作り出すのに効果的である」と結論付けています。

運動の目安

近年では、散歩や自転車、水泳といった有酸素運動を中心に、筋トレなどの無酸素運動を合間に組み合わせるのが良いとされます。

運動によるエネルギー消費量のめやすは、1日約160~240kcalです。
日常生活における運動では、散歩なら30分間、平らな道でのサイクリングでは20分間、縄とびでは5分間をそれぞれ2~3回行うと消費できることになります。

少なくとも週に3日以上、出来れば毎日行うのが基本です。

簡単でお勧めの運動法

  • インターバル速歩

「サッ サカ歩き」と「ユックリ歩き」を数分間ずつ交互に繰り返す「インターバル速歩」は、信州大学スポーツ医学科の能勢教授らが考案した運動法で、2型糖尿病患者 の血糖コントロールを改善する運動法として注目されています。

特に時間的なノルマは無く、ふだん運動していない人なら、1日30分を週4回以上、5 か月継続を目標に行います。

デンマークのコペンハーゲン大学、トーマス・ソロモン准教授(生物医学)の研究では、2型糖尿病患者にインターバル速歩1時間を週 5回実施させたところ、彼らのインスリン感受性は50%近くも改善し、通常のウォーキングよりも血糖コントロールに有効だったと報告しています。

  • ステッピング

ス テッピングとは、高さ13cmの踏み台を昇り降りする運動で、1日15分程度を長期間に亘って継続すると、高血圧や糖尿病、腰痛などの改善が期待できるというものです。

厚生労働省は平成17年6月に、「階段利用の勧め」として「1段の上り下り運動(ステッピング運動)」は21世紀の最良の運動のひとつだとして公表していまする。

階段の昇り降りが特に良いというわけではなく、細胞や神経を健全に保つために運動がどんなに大切でも日常的に行うのは難しく、ステッピングなら踏み台 1つあれば簡単に室内で運動ができ、長続きしやすいというのが最大のメリットだといえるようです。

運動療法の注意点

血糖値は食後1時間から1時間半位でピークに達しますので、食後1時間くらいで運動を開始すると食後高血糖を抑えられます。

しかし、血糖コントロールが悪く痩せてきた場合や眼底出血がある場合、腎臓機能低下がある場合などは、主治医に相談が必要です。

また、薬剤治療をしている場合は、運動で細胞代謝が上がると薬の副作用によって低血糖になる場合がありますので、運動前の服薬には注意しましょう。

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
banner5555

関連記事

コメントは利用できません。

お客様の声

お客様の喜びの声

テトウストレ公式通販サイト


転載は固くお断りします

※本サイトの基本原稿は、西洋医学・予防医学・自然医学に基づき独自に執筆したものです。転載は固くお断りします

ページ上部へ戻る