糖尿病発症リスク最新情報

糖尿病のリスク

日本で糖尿病患者が散見されるようになったのは、1960年代からです。そのころは「ぜいたく病」と呼ばれ、もっぱらご馳走を食べる機会の多い人に限られていました。

しかし、現代では発症リスクも多様化し、糖尿病は巷にあふれています。
食事の欧米化はもちろん、ストレス社会、添加物による体の酸化、空気汚染、薬の副作用などが、原因には事欠かない状況です。

こうした発症リスクに関する新しい情報を以下に示します。

倹約遺伝子

日 本人は欧米人よりも食事の影響を受けやすく、糖尿病になりやすい。日本人の食事が欧米化してから、糖尿病が急速に増えたのは歴史的な事実である。
その理由 は、少ないエネルギー消費量で活動できる遺伝子(肥満遺伝子)をもっている人が多いからだ。つまり、私たちは飢餓には強い。その遺伝子を「倹約遺伝子」と いう。

武庫川女子大学国際健康開発研究所の所長らが、1983年から約20年間、25か国61地域を対象に調べたところ、体内のタウリンの量が多い 人は肥満、脂質異常症、高血圧になる危険性が低いことが判明した。
さらにマグネシウム量が多い人も、同様だという。

和食はカロリーが低いうえに、タウリンやマグネシウムを豊富に含んでいることから、倹約遺伝子をもつ人が多い日本人には、和食が合っているということにな る。
日本人が古来の日本食を摂っていたころは、およそ糖尿病などはなかったのである。

アジア人の糖尿病発症BMI

体重を 身長の2乗で割った数字をBMI (Body Mass Index) といい、肥満度の指標となっている。
これまでにも、アジア人は欧米人に比べ糖尿病になりやすいことは経験的にいわれてきたが、米国糖尿病協会がこの12 月、彼らの要注意BMI 値を明らかにした。

米国では、最も急成長しているアメリカ人はアジア系であることから、民族的な身体組成の違いにより低BMIレベルで糖尿病を発症することを把握する必要が あると述べている。

一般集団においては、BMIが25以上を基準に糖尿病の検査を推奨しているが、アジア系アメリカ人の場合には23以上としなければ、多 くの糖尿病リスクを見落としてしまうと警告している。

糖尿病注意シグナル

2014年9月25日、日本テレビで糖尿病患者が注意する4つのシグナルを紹介した。

  • 一度でも太ったことがある人は危険
  • おしっこの回数が増えた人は危険、特に泡が消えない人は重症
  • 歯を磨いて血が出るようになった
  • 女性は妊娠と加齢で糖尿病になる可能性がある

過去に一度でも太ったことがある人は、糖尿病危険因子があるというが、「何もしなかった場合」ということではないだろうか?
確かに、これらの糖尿病発症リスクを知り、日常生活に気を付けることは最大の予防になるだろう。

虫歯は万病のもと

鶴見大学歯学部の花田信弘教授によると、虫歯も糖尿病と関係あるらしい。

人の口の中にすみつく細菌は700種以上にもなるという。 その中の「悪玉菌」は、血管を傷つけて動脈硬化の原因となり、アルツハイマー型認知症をひき起こしたり、関節リウマチや糖尿病、早産などにも関係しているそうだ。

虫歯にならないよう、また虫歯になったらきちんと治療するよう気をつけよう。
それも、「健康な歯を維持するには、穴が開く前の、まだ修復可能な『初期虫歯』の段階で必ず食い止めること」が重要だという。

近年になって、歯と内科疾患の 関係が注目されるようになったが、身体は全部つながっているのだから、伝統医療の立場から見れば当然のことといえよう。

PM2.5と糖尿病

今まで、2型糖尿病の原因は、過食や肥満と考えられてきた。
もちろん、それに間違いはないのだが、さらに大気汚染が糖尿病の一因になることが示唆されたといえる。

中国から飛来する大気汚染物質のPM2.5にマウスを6か月間さらすと、糖尿病の原因となる組織炎症とインスリン抵抗性(細胞が糖を取り込めない現象)が 増大したという。

これは2009年に米国心臓病協会発行の医学誌に発表されたもので、現在も注目度の高い論文のようだ。
ただし、こうした大気汚染はストレスも大きいので、色々な要素が絡み合っていることが予測される。

仕事のストレスは糖尿病を発症させる

日本の糖尿病患者のほとんどを占める2型糖尿病は、食事や運動などの生活習慣で発症すると従来から考えられていたが、近年ではストレスでも血糖値が上昇することがわかってい る。

ドイツのミュンヘンヘルムホルツ センターで、糖尿病を発症していない29~66歳のドイツ在住の労働者5,337人を、平均13年追跡調査したところ、追跡期間中に職場などで強いストレ スを感じていた約300人が、新たに糖尿病と診断された。

この研究結果は2014年に発表され、「強いストレスを感じている人は、糖尿病を発症する確率が45%高くなる」と結論付けている。
米国糖尿病学会(ADA)は、ストレスの効果的な対処法として、以下のことを提案している。

  • 環境を変えてみる
  • 運動をする
  • 休養をとる
  • 趣味や娯楽をもつ
  • 腹式呼吸をする
  • 主治医や専門家に相談する

血液型と糖尿病

2014 年12月、血液型と2型糖尿病の発症リスクを調べた、珍しい研究結果が発表された。
フランスの国立保健医学研究機構・疫学・集団保健研究センターで、82,104名の女性を対象に行われたという。

それによると、O型を基準にした場合、A型の糖尿病リスクはO型より10%、B型は21%有意に高かったそうだ。
AB型は17%だが、統計的に有意ではな い。Rh型は関連性がみられなかったそうだ。

本研究は女性のみだったが、おそらく男女差はないと考えられ、ABO血液型と2型糖尿病リスクに関連がみられ た理由は今後の研究が待たれる。

2型糖尿病の原因は脂肪組織の炎症

2015年2月に発表されたイェール大学などの研究で、インスリンがグルコース産生を抑制するプロセスを、脂肪組織の炎症が当該プロセスの反転をひき起こしてしまい高血糖になることが動物実験で明らかにされた。

従来、健常者はインスリンが直接肝臓のグルコース生産を抑制すると考えられていたが、2型糖尿病では、このメカニズムが作動しない。
そこで、イ ンスリンは脂肪の分解を阻害し、それによって肝臓によるグルコース生産が抑制されているのではないかと仮説を立て、動物実験で本仮説を証明した。
高カロ リーの食事や運動不足で脂肪組織の炎症は起こるだろうから、この研究結果はうなずける。

がん治療が糖尿病を発症させる

糖 尿病患者が、がんの罹患率が高いということは、近年ではよく知られるようになったが、実は、がん治療が糖尿病を発症しやすいという研究結果が発表された。

2014年9月、悪性リンパ腫(HL)の一種であるホジキンリンパ腫の治療で、放射線照射の実施が糖尿病発症リスクを上昇させるという報告が 「Journal of Clinical Oncology」オンライン版に掲載された。

発表したオランダがん研究所によると、HLと診断され、治療を受けて5年以上生存した2,264例について追跡調査したところ、大動脈周囲リンパ節のみへの照射ではリスク上昇は1.82倍、大動脈周囲リンパ節と脾臓に同様の放射線照射を受けていた患者では、そ うでない患者に比べ糖尿病発症リスクが2.30倍上昇していたという。

ただし、10~35グレイと放射線治療が低線量で行われた場合には有意な糖尿病リス クの上昇はみられなかったといい、こうした治療を受ける場合は記憶に留めておくと良いだろう。

境界型も糖尿病

糖尿病大国 のアメリカでは、糖尿病予備軍とか境界型という呼び名は糖尿病の意識が低いため、「プレ糖尿病」に変更するとして、2003年11月号のDiabetes Care(アメリカ糖尿病協会編集)で、『プレ糖尿病』の判定基準を従来よりも厳しくするとした。

確かに、糖尿病の診断基準は糖尿病学会が決めたもので、 血糖値を正常に保てなくなった体は糖代謝障害が始まっているのだから、病気でないと考えることの方が危険である。
プレ糖尿病の判断基準は、以下のとおり。

  • 【空腹時血糖】100~125mg/dL
  • 【ブドウ糖負荷テスト2時間値】140~199mg/dL

上 記の診断基準には、40~71歳までのアメリカ人の40%が当てはまるといい、この世代の10%はすでに糖尿病の診断を受けているそうだから、約半数は糖尿病といえる。
日本人の生活習慣はアメリカナイズされていることを思えば、決して他人ごととしてとらえるべきではない。

 

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